近藤 史准教授

学生たちによるインタビュー

先生の専攻は何ですか?

地域研究です。関連分野として生態人類学や環境社会学、農村社会学もあります。

その分野を研究しようと決めた理由を教えてください。

大学は農学部で土壌肥料学を学んでいたのですが、その卒論研究を通じて、「農業は、工場で製品をつくるときのようにマニュアルをつくって原料(養分)の足し算、引き算だけで考えたら行き詰るのではないか」と疑問を感じたのが出発点です。卒論では、ジャガイモの病気の発生と抑制のメカニズムを調べるために、土壌と作物の養分を分析していました。その結果、ある病気の抑制を目的として広く普及している土壌管理を長年続けたことで、別の病気が誘発されたことが明らかになって、人間の力では完全にコントロールできない生態系の複雑さというか、底知れなさにびっくりしました。農業という生業を、地域の生態環境や、そこに暮らす人々の文化、社会の一部として捉えたら、いまの近代農業がめざすものとは異なる、農業発展の新たな方向性が見えてくるんじゃないかなと思うようになりました。

それでまずは、近代農業があまり広がっていない発展途上国の農村に行って、昔ながらの自然と密着した農業の知恵や技術について知りたいと考えました。それから、農業は季節によっていろいろな作業があるから、できれば一年間じっくり現地にはりついてフィールドワークをしたかった。こうした希望を叶えられる大学院は少なかったのですが、たまたま学部時代の恩師が、学会で出会った他大学のアフリカ地域研究の教授を紹介してくださって、そこに進学しました。大学院では、教員も学生も、人類学や経済学、生態学、地理学、農学といったさまざまな分野から人が集まって、ひとつの大きなアフリカ地域研究ゼミを構成していました。私もはじめは農学のスキルしかなかったんだけど、ゼミで学ぶうちに、農業のことを調べるのでも政策変化や人口動態、共同労働や住民組織など、新しい切り口が加わっていって、そのたびに、地域農業のダイナミックな展開プロセスが見えてくるのが面白くて、気が付いたら今の専門分野にたどり着いていたという感じです。

今はどのような調査を行っていますか?

アフリカと日本でそれぞれ研究テーマは違いますが、共通して関心があるのは、農業や農村の持続可能な発展についてです。 アフリカでは、タンザニアという国の南部の農村を主な研究対象にしています。そこでは焼畑などの土地利用がこの半世紀の間に大きく変化していて、ある県では森林劣化が深刻だったり、別の県では植林と組み合わせた林業の興隆がみられたりします。環境を保全しながら生計を向上するには、どんな農業や活動が必要か、それを安定して実施するにはどのような社会の仕組みや組織が必要かといったことを研究しています。

日本では、これまで兵庫県で、農村の新しい特産品づくりや、農産物の付加価値向上、都市での農産物直売、都市の若者の農村交流といったことに、地域住民と一緒に取り組んできました。青森県でも同様の活動に注目して、地域の人びとが楽しく暮らせる社会の仕組みづくりについて考えていきたいと思います。

2018年度からゼミナールが開設されるということですが、どういったことをしたいと考えていますか?

せっかく弘前市の郊外にリンゴ農園がたくさんあるし、青森県は日本の中でも農業や漁業が盛んな県なので、青森県の生業や食料、環境をテーマにゼミをしていきたいです。具体的な内容は、ゼミに来る学生と相談しながら進めていくことになりますが、ゼミ生には必ずフィールドワークをしてもらいたいと思っています。少し脱線しますが、私、食の手仕事が好きなんです。自分で梅干しや味噌を漬けたり、ジャムや果実酒をつくったりもしています。なので、青森県内でそういった食の手仕事や、地域独自の食材、食文化といったことについて研究したい人、大歓迎です。たんに食い意地が張っているだけとも言いますが(笑)。

では、先生にとって、地域行動コースの魅力とは何でしょうか。

まだ着任したばかりなのですが、地域行動コースでは教員と学生の交流が盛んだなと感じています。その理由は、おそらく地域行動コース全体の教員が担当するフィールドワーク実習にあるのではないかと思います。実習にじっくり時間をかけるので、お互いをよく知ることになり、勉強で分からないことがあったときや、研究で行き詰まったとき、学生生活の悩みがあるときなども、相談に行きやすくなる。これってすごく魅力的ですよね。 また実習では、学外の人たちと接して、現場の魅力や課題をみつけたり、よりよい展開のアイディアを考えたりしながら、グループで発表や報告書を仕上げていきます。その過程で、人の話を聞く力、人に伝える力、異なる意見をまとめる力、行動をおこす力などが養われるのも特色ですね。

最後に、地域行動コースを目指している高校生に一言お願いします。

笑顔の挨拶と健康な胃袋でフィールドワークの楽しさは倍増します。

ありがとうございました。

専攻地域研究
出身地鳥取県
行ったことのある国タンザニア、ウガンダ、マラウイ、ケニア、ガーナ、ペルー、中国、タイ、イギリス、フランス、イタリア、バチカン市国、アメリカ
その中で好きな国ペルーとタイ(ご飯が美味しい!マーケットが楽しい!)
休日の過ごし方温泉に入る、直売所で買い物
趣味食の手仕事
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