閑話休題② ブランドの言語、フランス語(「フランス語のすすめ」その②*)

 日本では新年度、新学期。新しくフランス語を始めようとする人、または始めようかどうかまだ迷っている人の背中を押すために、今回は“閑話休題”。化学から離れて、ブランドステータスとしてのフランス語について考えてみようと思う。

 ルイ・ヴィトンと言えば、世界中で最も人気のあるファッションブランドの一つである。 日本でも多くの人、とくに女性に好かれるブランドであるし、僕が今現在住んでいる台湾でも、 市街地に行けばルイ・ヴィトンのバッグを持っている女性を多く見かける。もっともこっちでは偽物が多いから、本物ではないかもしれないけれど。いずれにせよ人気のあるブランドであることは事実である。しかし、このブランドの商品は、高い。人気ブランドだから当たり前のことだが、お金持ちの人は別にして、普通の人間が気楽に買える値段ではない。しかしながら、高いお金を払うことなく、このブランドと同じ価値のものを身につける方法が一つある。
 それは、フランス語を学ぶことである。
 ルイ・ヴィトンの人気の理由は、おしゃれなデザインや機能性といった点にもあるが、 やはりこのブランドが持つ独特の高級感といった点にあるだろう。この高級感がそれを所有する人にステータスを与えるからこそ、このブランドが好かれるのである。では、この高級感はいったいどこから生み出されるのだろうか。それは、ルイ・ヴィトンの輝かしい歴史と伝統からである。その歴史と伝統はルイ・ヴィトンを生んだ国、つまりフランスの文化によって育まれてきた。そして、フランス文化を構成するものはフランス語である。つまり、ルイ・ヴィトンの高級感はフランス語から生まれるのである。だから、フランス語を話せるようになれば、それはすなわちルイ・ヴィトンを身につけることと同じ意義を持つことになるのだ。
 「ルイ・ヴィトンのものなら、私は持っているから、フランス語はいいや」と思う人もいるだろう。だが、フランス語が話せるようになれば、あなたの持っているルイ・ヴィトンのポテンシャルを更に高めることができるはずだ。想像してみて欲しい、ルイ・ヴィトンのバッグを肩にかけながらフランス語を話している姿を。(こんなことしたら、むしろ誰も近づかなくなるかもしれないが。) いずれにせよ、こんな事は英語、ドイツ語、そして中国語ではできない。フランス語だけが、ルイ・ヴィトンと共鳴できる唯一の言語だからである。
 ちなみにフランスで生まれた高級ブランドはルイ・ヴィトンだけではない。 エルメス、カルティエ、ケンゾーなど他にも多くある。これらのブランドの原点もフランス語にあるのである。フランス語は、芸術の言語であり、料理の言語であり、科学の言語であるが、高級ブランドの言語でもある。従ってフランス語を学ぶということは、高級ブランドのものを身につけることとイコールなのである。 ブランドものに憧れるあなた、フランス語はお勧めの言語だ。

*編者注: 筆者は学生メッセージを集めたコーナー「“電書”鳩通り」で、すでに「フランス語のすすめ」というエッセイを寄せてくれています。 こちらもぜひチェックして、フランス語の世界に一歩踏み出してくださいね!!