アフリカ大陸初の”新幹線”

アフリカ大陸初の新幹線「LGV(la ligne à grande vitesse)」が2018年11月15日、モロッコで開通しました。
名前は「Al Boraq」。モハメド6世国王によって名づけられたこの名前は、イスラム教の預言者ムハンマドを遠くまで運ぶための天空の馬を意味します。
費用の約半分をフランスが負担しており、この日はモハメド6世国王とともにフランスのエマニュエル・マクロン大統領が北部の国際都市タンジェから首都ラバトまで乗車し、開通を祝いました。

LGVは、タンジェと商業都市カサブランカを結びます。
モロッコにはONCFという鉄道がありますが、この鉄道で4時間45分前後かかっていたのが、LGVでは2時間10分に短縮されます。
最高速度は320キロにもなるとか!

元々は2007年に、モハメド6世国王とフランスのサルコジ大統領(当時)のもとで計画が始まったLGV。
2011年に開始された工事は遅れに遅れ、当初予定していた2015年12月からは約3年遅れの開通となりました。
総費用20億ユーロ超のうち、モロッコが28%、フランスが51%、残りの21%はサウジアラビアやクウェート、UAEなどのアラブ諸国からの出資です。

首都ラバトにあるラバト・アグダル駅で建設途中の新駅舎。
奥がLGV用の駅舎、右側に停車しているのが鉄道(2018年7月)


年末までには商業運転が開始される見込みとのこと。
気になる料金は…予約時期などによって異なりますが、タンジェ・カサブランカ間で一等車では243~364ディルハム(約3000~4000円)、二等車では149~224ディルハム(約1800~2700円)。
一方の従来の鉄道の料金を調べてみると、一等車195ディルハム、二等車132ディルハムなので、高すぎるというほどでもなく、市民の足としても活躍しうるでしょう。
残念ながら、私はLGVが日の目を見る前に帰国してしまったので、モロッコを再訪した時には乗ってみたいなと思います。

LGVは、商業運転からの最初の3年間で600万人の利用が見込まれています。
延伸も計画されており、「アフリカのハブ」としてのモロッコにとってLGVが果たす役割は大きいことでしょう。




2018年11月18日