フランス語のすすめ

モンプリエ第二大学博士課程 大原啓一郎

Monpellier  名前は忘れてしまったが、とある映画の中でアメリカの大富豪が朝にフランス語の練習をしているシーンがあったのを覚えている。彼はニューヨークの高層ビルに住んでいて、パンをかじりながらフランス語の動詞の活用をひらすらテープレコーダーで聞いているのである。これはあくまでフィクションであり、実際にこんなことがあるわけではないのだが、これは全世界の人達がもつフランス語に対するイメージ、すなわち「上流階級の人間が学ばなければならない言葉」というイメージを反映している。従って「私はフランス語を話せます」と言い、何でもいいからフランス語でしゃべれば、話し相手に「こいつはただ者ではない」というイメージを与えてくれる。ただそれが話せるという理由だけで、その人になにやら神秘的かつ上流階級的なイメージを与えてくれる言語はフランス語以外にはありえない。

 特に男性にとってフランス語は、どこかキザったらしく、あんまり好ましくない言語に思えるが、それでもフランス語は「格好いい」。ちなみに、僕は男性なので、男性の立場からみた「格好いい」を言っているのであって、女性の立場からみた「格好いい」とはちがうニュアンスである。子供がプロのスポーツ選手に憧れるような感じである。昔、カプコンの格闘ゲームでエックスマンのヒーロー達が戦うゲームがあり、そこにガンビットというフランス出身の盗賊が出てくる。彼は戦いに勝つと「遊びは終わりだ」みたいなこと(フランス語でなんていうか忘れてしまいました)をサラッというのだが、フランス語はまさにこういうシーンのために存在すると僕は思っている。フランス語には英語特有の力強さはないが、ボソッと言う独特のリズムが決めゼリフを言うのにとても適している。だからフランス語を話せるというのは、僕にとっては高い車に乗ることよりも、古着を着ることよりも、「格好いい」ことに思えた。そして、フランス語をこう思っているのは自分だけではないとも確信できる。例えば日本の洋服のブランドや車にフランス語の名前をよく見つけるが、これこそほかの人達もフランス語を「格好いい」言葉だと思っている証拠ではないだろうか。たかだか週2コマの授業を受けるだけで、上流階級になれ格好よくなれるのだから、フランス語ほど第二外国語として役に立つものはない。 

2001年 農学部生物資源学科(当時)
2003年 農学研究科修士課程 修了
2005年~ 在モンプリエ/化学専攻
2009年 モンプリエ大学博士号取得