弘前大学人文学部社会言語学研究室
「やさしい日本語」
を用いた減災研究


「やさしい日本語」とは?

「やさしい日本語」とは、普通の日本語よりも簡単で、外国人にもわかりやすい日本語のことです。これは、地震などの災害が起こったときに有効なことばです。95年1月の阪神・淡路大震災では、日本人だけでなく日本に来ていた多くの外国人も被害を受けました。その中には、日本語も英語も十分に理解できず必要な情報を受けとることができない人もいました。そこで彼らが災害発生時に適切な行動をとれるように考え出されたのが「やさしい日本語」なのです。

 下の2つの文章を読み比べてみてください。

文章A  けさ7時21分頃、東北地方を中心に広い範囲で強い地震がありました。
 大きな地震のあとには必ず余震があります。
 引き続き厳重に注意してください。
 皆さんおちついて行動をお願いします。
 ガス臭いようなところがありましたらマッチを擦ったり、
 照明のスイッチをつけたり、消したり、ということはしないでください。
 弘前市は断水や停電となり、市民の生活は麻痺しています。
 中心部の雑居ビルが完全に崩れ落ちています。
文章B  今日 朝 7時21分、 東北地方で 大きい 地震が ありました。
 大きい 地震の あとには 余震 あとからくる地震が あります。
 気をつけて ください。
 火を 使わないで ください。
 火事に 気をつけて ください。
 弘前市は 水と 電気が 使えません。
 地震で 倒れた 建物に 気をつけてください。



文章Aは、阪神・淡路大震災のときに実際にラジオで放送された文をもとに作成したものです。詳しく書いてあってたくさんのことがわかります。文章Bは、文章Aよりも情報量は少ないですが、読んですぐに内容がわかります。文章Bの方が理解しやすく、日本語に不慣れな外国人にもわかりやすいと思われます。なぜなら文章Bは、一つひとつの文章が短くすっきりしていて、難しいことばを使っていないからです。
文章Bで使っていることばが「やさしい日本語」です。

「やさしい日本語」Q&A

Q1 どうしてやさしい日本語で伝えるのですか?
英語や中国語ではだめなのですか?
A1 災害が起きた直後の情報を、被災地に住んでいるすべての外国人のことばに翻訳して伝えることが理想です。しかし、翻訳して情報を流すには時間がかかります。また、日本に住む外国人の中には、英語や中国語がわからない人もいます。やさしい日本語なら、彼らがいつも使っている、買い物をしたりバスに乗ったりできる程度の日本語で作られていますので、より多くの外国人に災害の情報を伝えることができます。また、日本語を話せる人ならば誰にでもすぐに作ることができるという利点もあります。


Q2.私にも作れますか?どうすればやさしい日本語を作ることができますか?
A2.
誰にでも作ることができます。詳しい作り方は『新版・災害が起こったときに外国人を助けるためのマニュアル』に載っています。「やさしい日本語の作り方」のページを参照してください。普通の日本語からやさしい日本語への言い換えリストもありますので参考にしてください。

※『新版・災害が起こったときに外国人を助けるためのマニュアル』とは、やさしい日本語を使った放送用案文、ポスターやビラなどの実例集です。


Q3.『新版・災害が起こったときに外国人を助けるためのマニュアルを見たいのですが、どこで見ることができますか?
A3.
ホームページ上では、こちらで確認することができます。ご自由にダウンロードしてご利用ください。刊行されたマニュアルは、各都道府県立図書館や政令指定都市の市立図書館で見ることができます。
また、旧版の『災害が起こったときに外国人を助けるためのマニュアル』はこちらで確認することができます。


Q4.『新版・災害が起こったときに外国人を助けるためのマニュアル』が欲しいのですが、どうすれば入手できますか?
A4.
研究室が無償で配布したマニュアルは残部がなくなってしまいました。それでも入手したいとご連絡をくださる方がいらっしゃいますので、弘前大学生協の書籍部で実費領布できるように手配しました。注文方法の詳細はこちらをご覧ください。


Q5.やさしい日本語は実際に活用されていますか?具体的に教えてください。
A5.
FMアップルウェーブ(弘前市)、FMわぃわぃ(神戸市)などのラジオ放送をはじめ、弘前市、仙台市、横浜市、富田林市、埼玉県で、実際にやさしい日本語を使った行政文書や防災マニュアルとして実用化されいます。弘前市にはやさしい日本語を使った標識もあります。


Q6.やさしい日本語は本当に有効ですか?
A6.
やさしい日本語は検証した結果、有効であると証明されています。98年に外国人留学生を対象として、同じ内容の、普通のニュース文とやさしい日本語文を1回ずつ聞いてもらい、それぞれの内容をどれくらい理解することができたかという実験を行いました。検証の詳細はこちらにまとめてあります。



Q7.やさしい日本語に対する社会的評価はどうですか?
A7.
「やさしい日本語」研究では災害時における情報提供のあり方について考え、提案することを主たる目的としていますが、普段の暮らしに関する情報提供で「やさしい日本語」を活用している自治体や団体もあります。
 また、弘前大学人文学部社会言語学研究室や減災のためのやさしい日本語研究会が行っている活動は新聞各紙も理解してくれ、日本や世界の各地にその有益性を説明してくれています。「やさしい日本語」の活用事例と社会的評価についてはこちらにまとめてあります。





やさしい日本語についてもっと詳しく知りたいときはこちらへ



日本語観調査
日本の言語外交
これまでの活動
卒業論文テーマ

2005年10月20日
公開実験の告知をトップページにアップしました。

05年09月22日 
公開実験 「みんなで減災2005 in ひろさき−災害情報を『やさしい日本語』で」追加

05年03月23日 平成16年度卒業論文追加。

05年01月27日 
ラジオ放送新版マニュアル続日本の言語外交追加

新版マニュアルはすべてPDF形式でアップロード終了しました。


05年01月17日 
新版・災害が起こったときに外国人を助けるためのマニュアル」更新。
FMアップルウェーブ「グラッときたらまずラジオ〜やさしい日本語で伝えたい3〜」情報公開


05年01月14日
「新版・災害が起こったときに外国人を助けるためのマニュアル」更新

04年12月06日 
外国語の通じる病院リスト」最新版更新
ゼミ生一覧更新
漢字表」更新 

04年11月19日 
続・日本の言語外交のホームページにリンク

04年11月18日 
平成15年度卒業論文のテーマを公開

04年11月02日 
新潟県中越地震についてとポスターを更新
弘前大学人文学部社会言語学研究室 kokugo@cc.hirosaki-u.ac.jp
教官 佐藤和之 学生 ゼミ生一覧

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